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CSRは社会やステークホルダーとの共感からはじまる

2017年09月30日

CSR活動は会社の成果と考えがちだが、実際はステークホルダーの成果と捉えるべきである。ここ数年、日本の大手企業の不祥事が目立っているが、CSR活動そのものを積極的に行っている企業に不祥事が多いのは、CSRの価値領域を経営サイドが自分サイドにあると考えているからで、表向きはステークホルダー・ファーストな事業展開を行っているが、内側では、コンプライアンスをも無視し続けた利益追求が、二律背反的に映る結果をもたらしているとも言える。自社の利益を重視するのはわかるが、その結果、社会やステークホルダーに負荷をかけても仕方がない訳で、CSR活動はステークホルダーの利益追求や課題解決を目指すものでなければならない。その結果、信頼性・透明性向上、ブランド価値創出、ひいては企業価値向上につながっていくのだ。何かしらの「対価」がステークホルダーから得られるのである。

社会問題を語ることだけがCSRではなく、環境問題も、難民問題も、貧困問題も、人類にとって重要な課題に違いはないが、いま一度、私たちの回りを見渡したときに感じるものは、「社会のあるべき姿」に企業が自己投影されているかとの問いである。格差社会、少子高齢化、子育て問題など政治が取り組む課題とは別に、企業がもっと踏み込んで社会やステークホルダーに貢献できる課題を探すことが、これからのCSRの役割である。あるべき姿とは、言葉を換えれば理想像であったり、目標であったり、ゴールであったりする。私たちが暮らす社会に目標があるとするならば、企業がそこへどうコミットメントできるのか、あるいはどう寄り添えるのか、良いサービスを生み出し良い商品をつくる以上に、そんな意識が企業にいま求められている。企業の目的が自社の課題解決ではなく、社会やステークホルダーの課題解決であるという姿が、これからのCSR活動そのものなのかもしれない。

CSR活動は、企業の存在意義のための一つの事業活動に過ぎず、大切なのは、CSR活動の動機を明確にすることなのである。動機とは、つまり「共感」なのだ。社会やステークホルダーの理解や共感をより得るためには、現代社会においてそれらのニーズをいち早くキャッチする努力が必要だ。当然、企業は社会やステークホルダーのニーズを満たすことで対価を得ることができる。経済的価値(貨幣価値)で換算できる成果ではないかもしれないが、自社の利益だけではなく、他者の利益追求をサポートしてこそ、社会に必要とされる存在になれるのだ。CSR広告を多用し、社会やステークホルダーとの接点を模索することも重要である。CSR広告を通じた活動から、社会やステークホルダーは企業を知り、その企業が生み出す商品や株式を手に取るようになるのだから。まず隗より始めよ、なのである。

一筆芳巳

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